学習コラムColumn
厳しさとは、どういうことか【白井】
- 2013.12.2
日々、クラスの場に立って多くの受講生の皆さんと接することができること、あらためて本当に幸せだと感じます。目標に向かって一生懸命に努力している方々と、時間も空間もご一緒できることはこの上なくエキサイティングなことだと思っています。
さて、今日は「厳しさ」について思うところを書いてみたいと思います。
「プレゼンスのコーチって厳しいですよね~(笑)」
イベントや懇親会などの時に、受講生(コース終了者)の方からよく聞く言葉です。そう、どうやらプレゼンスは”厳しい”スクールのようです。
一方で、そのコメントを言う方々の表情を見る限り、決して「厳しい=嫌だ」という感情で言っているのではないということが伝わってきます。むしろ、過去を懐かしむような、楽しい思い出話をしているような、そんな表情すら見せることがあります。厳しいという語感と彼(彼女)たちの表情が一致しないのです。よくよく考えると、これはなかなか面白いことです。どういうことなのでしょうか。
そもそも、ただ厳しいと言っても、実は受講生の方々が感じる”厳しい”の種類はいくつかあるように思います。
1)宿題の量が厳しい(多い)と感じる
2)コーチの言動が厳しいと感じる
受講生の皆さんとしては、1)の観点で”厳しい”と感じることもあるかもしれませんが、そこは彼(彼女)らも十分に納得しているものです。「英語の上達に魔法があるわけもない。ある意味当然だな」という感覚です。なので、厳しい状況が嫌悪の感情にはならないのです。(とは言え、プレゼンスの宿題は、やはり少なくないので、それを真摯にこなしてくる受講生の皆さんには、本当に感心します!)
2)について。コーチは、やはり時に厳しい(と受講生が感じる)発言をクラス内ですることがあります。例えば、私のクラス内ではこんな言葉が投げかけられるかもしれません。
「今週、文法問題の宿題が終わっていないようですが、なにが原因ですか。」
「宿題を完了させるためには、どんな1週間を過ごせば良かったと思いますか。」
「次週はどのように行動を変えますか。」
文字なので詰問のように見えるかもしれませんが、実際にはそうではないです。至ってふつうの口調で、純粋に質問なのです。「なんでやってないんですかっ!!」と叱責のようなトーンではないのです。
しかし、むしろ普通の口調であるだけに、この問いを受ける側にとっては、重く響くかもしれません。
彼(彼女)の視点からいくと、たとえどんなに一生懸命、1週間の時間と集中力を投下して宿題に取り組んだとしても、「まだもう少しやれたかもなぁ」という余地が、あるものです。
例えば、朝6:00起きの習慣を決意したものの、週に1度は6:00起床が出来なかった日があったかもしれません。「くそー!!」と思った瞬間は1度や2度ではないはずです。となれば、原因を自分の不甲斐なさに求めるほかありません。
そこに向き合うことは、苦しさを伴います。他のクラスメイトはしっかりやってきている、それに比べて自分はまだまだ未熟だ、という現実を直視しなければいけないのは、簡単なことではないはずです。
他責にする余地がないのです。逃げ場がないのです。これが”厳しさ”の正体です。
★★★
とは言え、コーチも人間です。問いかけを躊躇してしまいそうな時だってあります。『乾いた雑巾を絞って、もう一滴も出ません!』、という状況下にあるような方に対して、問いを投げなければいけないような時です。
例えば、こんなやり取りが、よくあります。
—
私:「○○の宿題がビハインドしていますがどのようにキャッチアップしますか。」
彼:「はい、、実は今週も終電過ぎまで働いており、それでも朝晩に1時間ずつ、プレゼンスの宿題をやっています。日中のスキマ時間も活用しています。もう、使える時間の全てを使っています。これ以上は無理そうです。」
私:「では、そのペースでTOEFL試験の決戦日に間に合いそうですか。」
彼:「・・・間に合わないと思います。」
私:「どうしたいですか。今季、ぜったいに留学の出願をしたいということでしたよね。」
彼:「そうです。・・・でも、仕事の優先度を落としてしまっては、社内の評価が落ちて社内選考が通りません。。」
私:「それは困りましたね。では、TOEFLコースの、この2ヶ月をどんな期間ととらえていますか。」
彼:「それは、もちろん、しっかり宿題をやりきって、点数を出したいです。」
私:「ではやはり、何かを変えなければいけませんね。何を変えますか。」
彼:「・・・」
—
この沈黙は、たとえ数秒であっても1分にも10分にも感じられます。彼の葛藤と苦しさが、痛いほどに伝わってくるからです。コーチだって当然わかっています。彼が最大限に一生懸命に、真摯にがんばっていることを。もっと時間と余裕があったら、全てをまっとうできる方であることを。彼に直接原因があるのではなく、彼の置かれている「状況」に原因があるだけなのだということを。
でも、「状況的に仕方がないですよね」と、コーチが思ってしまったら、もうおしまいなのです。それは逃げでしか無いのです。彼らはプレゼンス受講前にも、多かれ少なかれ一人で英語の勉強を積み重ねてきていて、それでも忙しい日常の中で自己を律することの難しさを感じたからこそ、プレゼンスの門を叩いています。助けを求めていると言ってもいいかもしれないです。だからこそ、我々コーチは、彼らに対して「現実と対峙しますか」それとも「目を背けますか」と問い続けます。その責務があると言っていいでしょう。
★★★
結局、「現実を直視して、自己を成長させていく」ということ自体が厳しいのであって、苦しさを伴うというだけのことです。プレゼンスやプレゼンスコーチが、手厳しいということではなく。この”厳しさ”は、彼(彼女)の成功を心のそこから応援したいからに他なりません。愛情といってもいいでしょう。根底に愛情があるからこそ、成立しえるのです。
ちなみに、書きながら気づきがありました。前述の、笑顔で「プレゼンスコーチは厳しかった~(笑)」と言える方々は皆、例外なく、現実を直視して結果をつかみとっていった方々でした。逃げずに乗り越えていった方々でした。だからこそきっと、自信と余裕が感じられて、清々しい表情だったのですよね。
※なお、厳しいとは言っても、英会話コースとTOEICコースは、TOEFLコースほど追い詰めらることはありませんので、あまり怖がらないでくださいね。。(^^;
(白井)