IELTSIelts-blog
英語検定IELTS™️(アイエルツ)をご存じでしょうか。
IELTS™️(International English Language Testing System)は、イギリスのブリティッシュ・カウンシルが運営するイギリス英語の検定試験です。2023年現在、英語圏の国140カ国、11,000以上の教育機関でIELTS™️スコアが有効です。
IELTS™️スコアを持っていれば、英語圏への海外留学や移住の際に英語力の証明として利用できます。
また、IELTS™️の受験目的は海外留学や移住だけではありません。実は日本の大学入試でも、IELTS™️スコア取得者に対して、出願資格や試験免除などの優遇措置を設けている大学が増えています。
そのため、大学入試を控える高校生の受験者数が増加しているのです。
本記事では、日本の大学入試にも採用されているIELTS™️とTOEIC®の試験の違いや、スコア換算について解説します。
IELTS™️とTOEIC®どちらを受験すべきか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
参照:IDP IELTS 日本「試験対策|高校生必見!IELTSを使って大学受験する5つのメリット|高校生のIELTS受験者へのアンケート」
IELTS™️とTOEIC®スコアの出し方
IELTS™️とTOEIC®では、スコアの算出方法が異なります。
まずは、TOEIC®スコアの算出方法を見てみましょう。TOEIC®スコアは、統計処理によって算出されます。また、TOEIC®はスピーキングとライティング用の試験も存在しますが、ここではリスニングとリーディングのみのTOEIC®︎を対象としIELTS™️と比較していきます。
TOEIC®の出題数は、リスニングセクションとリーディングセクション合わせて200問ありますが、各問題に配点が設定されているわけではありません。
各試験回の難易度の違いによってスコアが変動しないよう、統計処理によってスコアが調整されています。
そのため同じ英語力であれば、どの試験回を受験しても同じスコアが保たれる仕組みになっています。
一方、IELTS™️は1.0〜9.0段階で評価されます。1.0が最低レベルで、9.0が最高レベルです。各スキルごとに異なりますが、正解するごとに1点追加され、その総合点で段階が分かれます。
各スキル(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング)に対し、0.5刻みで段階評価がなされます。4つのスキルの平均値がIELTS™️スコアとなります。
参照:IELTS™️「バンドスコア・採点方法」
参照:公益財団法人日本英語検定協会「IELTS™️|採点方法・テスト結果」
IELTS™️とTOEIC®スコアの換算表
IELTS™️もTOEIC®と同様、合格・不合格がなく、スコアによって判定されます。最高得点は、TOEIC®が990点であるのに対し、IELTS™️は9.0です。
以下はCEFRとの対比表を介して作成した、2つの試験のスコア換算表です。
TOEIC®とIELTS™️の換算表1
テスト名 | スコア | ||
---|---|---|---|
Listening | Reading | Total | |
8.5~9.0 | – | – | – |
7.0~8.0 | 490~ | 455~ | 945~ |
5.5~6.5 | 400~ | 385~ | 785~ |
4.0~5.0 | 275~ | 275~ | 550~ |
3.0 | 110~ | 115~ | 225~ |
2.0 | 60~ | 60~ | 120~ |
以下は、IELTS™️のスコアをさらに0.5刻みに細かくした表です。
TOEIC®とIELTS™️の換算表2(IELTS™️の0.5刻みの粒度で計算)
テスト名 | スコア | ||
---|---|---|---|
Listening | Reading | Total | |
8.5~9.0 | – | – | – |
8.0 | 495 | 495 | 990 |
7.5 | 493~ | 475~ | 968~ |
7.0 | 490~ | 455~ | 945~ |
7.0 | 490~ | 455~ | 945~ |
6.5 | 460~ | 432~ | 832~ |
6.0 | 430~ | 408~ | 808~ |
5.5 | 400~ | 385~ | 785~ |
5.0 | 358~ | 348~ | 707~ |
4.5 | 316~ | 312~ | 628~ |
4.0 | 275~ | 275~ | 550~ |
3.5 | 193~ | 195~ | 388~ |
3.0 | 110~ | 115~ | 225~ |
2.0 | 60~ | 60~ | 120~ |
参照:文部科学省「各試験団体のデータによるCEFRとの対照表」
参照:一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会「【公式】TOEIC® Program|公式データ・資料|TOEIC® Program各テストスコアとCEFRとの対照表」
IELTS™️のスコアをTOEIC®スコアに換算した際の英語レベルをさらに詳しく解説します。
IELTS™️スコア8.5以上のTOEIC®スコアは?
上記換算表の通り、IELTS™️スコア8.5以上はTOEIC®スコア満点を超える換算になるため、TOEIC®では該当スコアがありません。
IELTS™️スコア8.5以上は、TOEIC®に比べて非常にレベルの高いスコアであることが分かります。
IELTS™️スコア7.0、7.5、8.0のTOEIC®スコアは?
IELTS™️スコア7.0、7.5、8.0は、TOEIC®スコアに換算すると、おおよそListeningが490点以上、Readingが455点以上です。
それぞれのスコアの評価は以下の通りです。
テスト名 | スコア | スキルレベル |
---|---|---|
IELTS™️ | 7.0 | ほとんどの場合、流暢に英語が話せる。慣れた状況下では、柔軟な語彙力によってある程度複雑な英語も使える |
7.5 | ||
8.0 | 時々不正確さがあるが、ほとんど問題なく流暢な英語が話せる。語彙力があるため、適切な語彙を使える | |
TOEIC® | Listening490点以上Reading455点以上 | 日常会話で聞き取れない、もしくは、理解できない英語はほとんどない。第二言語として英語を自由に使うことができ、グローバルな人材として十分活躍できる |
英語力としては最も高いレベルといえるスコアでしょう。
IELTS™️スコア5.5、6.0、6.5のTOEIC®スコアは?
IELTS™️スコア5.5、6.0、6.5は、TOEIC®に換算すると、Listening400点以上、Reading385以上が目安です。
それぞれのスコアの評価は以下の通りです。
テスト名 | スコア | スキルレベル |
---|---|---|
IELTS™️ | 5.5~6.5 | 簡単なスピーチができるが、複雑なコミュニケーションになると流暢に話せない。馴染みのない話題でも、限られた語彙で話すことができる |
TOEIC® | Listening400点以上、Reading385点以上 | 比較的細かい部分まで英文を聞き取れる。企業で英語力をアピールできるスコア。英語力が必須である部門への配属や、海外出張も期待できる。外資系企業や、商社への就職も可能 |
IELTS™️スコア5.5〜6.5はビジネスで使えるレベルの英語力を示します。
IELTS™️スコア4.0、4.5、5.0のTOEIC®スコアは?
IELTS™️スコア4.0、4.5、5.0は、TOEIC®に換算すると、Listening275点以上、Reading275点以上が目安です。
それぞれのスコアの評価は以下の通りです。
テスト名 | スコア | スキルレベル |
---|---|---|
IELTS™️ | 4.0~5.0 | 英語で答えるには時間がかかる。話し方もゆっくり。理解力や表現力に問題があるが、基本的な英語を使用できる。複雑な表現は使用できない |
TOEIC® | Listening275点以上、Reading275点以上 | 簡単な読み書き、日常会話が可能。英文を完全には聞き取れないが、話の大筋をある程度正確に聞き取れる。聞き取れなかった箇所を質問すれば、内容をほぼ理解できるレベル |
IELTS™️スコアとTOEIC®︎スコアから、IELTS™️スコア4.0、4.5、5.0は簡単な日常会話レベルの英語力だとわかります。
IELTS™️スコア3.5以下のTOEIC®スコアは?
IELTS™️スコア3.5以下は、TOEIC®に換算すると、Listening275点未満、Reading275点未満が目安です。
それぞれのスコアの評価は以下の通りです。
テスト名 | スコア | スキルレベル |
---|---|---|
IELTS™️ | 3.5以下 | 会話が片言になってしまう。使える簡単な英文も限られている。基本的なメッセージを伝えられないケースもある |
TOEIC® | Listening275点未満、Reading275点未満 | 英語の読み書きは片言で、意思の疎通を図れない。英語の基礎が身についていないレベル |
IELTS™️3.5以下は基本的な英語力の見直しが必要なレベルです。
参照:文部科学省「各試験団体のデータによるCEFRとの対照表」
IELTS™️とTOEIC®の違い
ここからは、2つの試験の違いを以下の4点から詳しく解説します。
- 試験概要
- 問題
- 受験者数
- 利用目的
また、IELTS™️にはビジネス向け試験とアカデミック向け試験の二つが存在します。(IELTS Academic、IELTS General Training)それぞれみていきましょう。
試験概要
以下は、TOEIC® Listening & Reading Testと、IELTS™️の試験概要を比較した表です。試験実施頻度はIELTSのほうが圧倒的に多いのが特徴です。
項目 | TOEIC® Listening & Reading Test | IELTS Academic、 IELTS General Training |
---|---|---|
試験料金 | 7,810円(税込) | 27,500円(税込/コンピューター版・ペーパー版) ※JSAFが実施するペーパー版は25,380円(税込) |
試験頻度 | 13回/年(2023年度実績) | コンピューター版:ほぼ毎日 ペーパー版:3~4回/月 |
試験を受ける場所 | 全国各地 | ペーパー版:全国各地 コンピューター版:東京・名古屋・大阪 |
試験形式 | 公開テスト | ペーパー版、コンピューター版 |
試験時間 | 2時間 | 2時間45分 |
コンピューター版での受験は、IELTS™️の場合、東京、名古屋、大阪の3都市のみでの実施になります。
参照:一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会「2023年度TOEIC® Programの公開テスト日程を発表」
問題
TOEIC® Listening & Reading Testは、リーディングとリスニングの2技能のみの試験ですが、IELTS™️は、4技能全てが試験対象です。
項目 | TOEIC® Listening & Reading Test | IELTS Academic、 IELTS General Training |
---|---|---|
問題数 | 200問(リーディング100問、リスニング100問) | 82問(リスニング40問、リーディング40問、ライティング2問) |
科目 | リーディング、リスニング | リスニング、リーディング、ライティング |
傾向 | ・リスニングは、問題への直接的な解答だけでなく、ストーリー展開を理解しているのか、コミュニケーションが成り立つのかを問う問題もある | ・長文は、書籍、論文、講演の抜粋から作問されることが多く、専門性の高い単語が出題される ・4つの技能全てを総合的に判断 |
IELTS™️のほうが出題される問題数が少なく、英文の専門性が高いのが特徴です。
受験者数
以下がTOEIC®︎とIELTS™️の受験者数の比較です。
項目 | TOEIC® Listening & Reading Test | IELTS Academic、 IELTS General Training |
---|---|---|
受験者数 | 約200万人(2022年度 1,971,000人) | 約550万人(過去5年間の平均) |
日本では、TOEIC®と比べるとまだIELTS™️は認知度が低いです。しかし、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アイルランド、アメリカ、南アフリカでは、高等教育機関で認定されており、国際的には認知度が高い試験です。
参照:一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会「 【公式】TOEIC® Program|公式データ・資料|TOEIC® Program受験者数」
参照:IELTS™️「About us」
利用目的
IELTS™️には、「IELTS Academic」と「IELTS General Training」の2種類のテストがあります。
IELTS Academicは大学留学希望者向け、IELTS General Trainingは、プロフェッショナルな機関で働く人や、大学や英語圏へ移住する人向けです。
日本ではIELTS Academicを受験生が多い傾向ですが、日本国内での英語力の判断にIELTS General Trainingを取り入れている企業も増加しており、需要が高まってきています。
項目 | TOEIC® Listening & Reading Test | IELTS Academic | IELTS General Training |
---|---|---|---|
使用目的 | 日本国内の就職や進学 | 海外大学への進学 | 移住や就職 |
必要な最低スコア | 600点以上 | 6.0前後 ※大学が求めるスコアによる |
移住(オーストラリアの場合):全セクションで6.0以上 就職(オーストラリアの場合):5.0以上 |
大学入試の優遇措置としてIELTS™️スコアを利用している日本の大学は、IELTS Academicのスコアを基準とする場合がほとんどです。
なお、日本人のIELTS™️の4技能平均点(2022年)は、IELTS Academic およびIELTS General Trainingともに5.9となっています。
参照:一般財団法人日本スタディ・アブロード・ファンデーション(JSAF)「IELTSで移住・就職(ジェネラル・トレーニング・モジュールについて)」
参照:IELTS™️|Test taker performance 2022
IELTS™️とTOEIC®は利用したいシーンに合わせて必要なものを受験しよう
本記事では、日本でも重要視されているIELTS™️とTOEIC®の試験の違いや、スコア換算について解説しました。
IELTS™️とTOEIC®はともに国際的に通用する英語試験です。どちらを受けるべきか迷う人もいるかもしれませんが、試験結果の利用目的に合わせて選ぶとよいでしょう。
本記事で紹介したように、就職が目的であればTOEIC®、留学が目的であればIELTS™️の受験を推奨します。
就職や留学だけではありません。IELTS™️を受験した高校生を対象とした受験目的に関するアンケート調査結果によると、約7割の学生が国内の大学受験でIELTS™️を活用するために受験しており、海外留学目的を大きく上回っています。
日本の大学入試では、TOEIC®とIELTS™️どちらのスコアでも優遇措置を取るというケースもありますが、スコアを取りやすい慣れた試験を選んだほうがよいでしょう。
本記事で解説した通り、2つの試験は、試験概要や出題内容も大きく異なります。各試験に合った学習方法で目標スコアを取得しましょう。
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