学習コラムColumn
TOEIC®︎は、国際ビジネスコミュニケーション協会が実施している英語コミュニケーション能力を測るテストです。
テスト結果は合格・不合格ではなく合計10〜990点の5点刻みの評価スコアで表示されるため、「現在地の正確な英語力の把握」や「今後の英語学習における目標設定」が可能です。
日本では個人による受験だけでなく、約3,000の企業・団体・学校などで採用されており、多くの大学生がTOEIC®︎に挑戦しています。
この記事では、大学生のTOEIC®︎平均点はどのくらいか、目指すべきスコアは何点か、企業が求めるスコアを取る勉強方法や勉強時間を解説します。
※個別の出典の記載がない場合、原則として画像・データは下記ページより引用しています。
参考:【公式】TOEIC Program|IIBC
TOEIC®の大学生の平均点(専攻別・学年別・大学別)
TOEIC®はSpeakingやWritingなどの試験が存在しますが、一般的に英語力を判断するのに用いられるのは、聞く・読む力を測る「TOEIC®︎ L&R」です。
TOEIC®には公開テスト(個人受験)とIPテスト(団体受験)があり、それぞれの平均点は異なります。
大学生の2020年度の平均点は「公開テスト 学生データ」では616点、「IPテスト 学校データ」では501点です。
項目 | 平均スコア | リスニング | リーディング |
---|---|---|---|
公開テスト | 616点 | 333点 | 283点 |
IPテスト | 501点 | 280点 | 222点 |
2020年度の公開テスト全体の平均点は620点なので、大学生の平均点は全体よりも少し低いことが分かります。
公開テストとIPテストの違いは「個人」か「団体」かだけで、難易度は変わりません。
公開テストのほうが平均点が高いのは、TOEIC®の対策を立て自発的に臨んだ受験者が多いからであることが一つの要因として考えられます。
専攻別のTOEIC®平均点
2020年度の公開テストにおける、専攻別の平均点にはどのような違いがあるのか見ていきましょう。
最も平均点が高いのは「社会/法学系」の645点で、「文系」631点、「会計学/ビジネス/経済学/財政学/マーケティング/貿易」625点と続きます。
一方、「工学/建築」は557点、「科学」は581点と、文系に比べて理系専攻の大学生の平均点が低いことが分かります。
そして「保健・医療」が612点と、理系の中では高くなっています。
参考:【公式】TOEIC Program|DAA2021(和文)2021年7月版 2020年度受験者数と平均スコア
学年別のTOEIC®平均点
2020年度の公開テストにおける、学年別の平均点では「大学4年」が639点と最も高得点です。
最も平均点が低いのは「大学1年」569点で、学年が上がるにつれ平均点は上昇します。
IPテストにおいても平均点が最も高いのは「大学4年」570点という結果でした。
企業が大学生に求めるTOEIC®の点数
大学生がTOEIC®を受ける理由の1つは、就職活動に有利になるという点です。
TOEIC®のスコアはエントリーシートや履歴書に書くことができ、実際に企業・団体の約5割が採用時の参考にしています。
多くの企業がグローバル化に対応するために英語力を求めており、社員に期待するスコアを大まかに定めています。
企業・団体が大学生に求めるTOEIC®点数は500点〜600点台
「英語活用実態調査【企業・団体/ビジネスパーソン】2019」によると、企業・団体が社員に求めるTOEIC®平均点は535点です。
項目 | 企業・団体が社員に求めるTOEIC®平均点 |
---|---|
新入社員 | 535点 |
技術部門 | 560点 |
営業部門 | 575点 |
海外部門 | 690点 |
ただし新入社員の業種別のスコアを「新入社員 TOEIC L&R 最新データ 2019年度」で見ると、マスメディアでは647点、公共団体では693点など、平均点が600点を超える業種も多くあります。
企業・団体が大学生に求めるTOEIC®のスコアは、業種や部門によって異なるという点には注意しましょう。
参考:【公式】TOEIC Program|新入社員 TOEIC L&R 最新データ 2019年度
TOEIC®を採用要件にする企業の割合
「英語活用実態調査【企業・団体/ビジネスパーソン】2019」によれば、採用時にTOEIC®の点数を「要件・参考としている」、もしくは「新たに要件・参考とする可能性がある」企業・団体は55.4%と半数を超えています。
採用時のTOEIC®の点数をどうしているか | 割合 |
---|---|
要件としている | 4.2% |
参考としている | 44.9% |
新たに要件・参考とする可能性がある | 6.3% |
TOEIC®で高得点を獲得すれば、就活時に有利に働く場合があるため、大学生が就活のためにTOEIC®を受験するメリットは大いにあります。
TOEIC®で大学生が目指したい目標点数
大学生が目指したいTOEIC®の点数は企業・団体によって異なります。
「英語活用実態調査【企業・団体/ビジネスパーソン】2019」の「新入社員の業種別平均スコア比較」では以下のような結果が出ています。
新入社員の業種 | 入社時のTOEIC®平均スコア |
---|---|
鉱業 | 670点 |
石油 | 578点 |
商社 | 537点 |
マスメディア | 647点 |
公共団体 | 693点 |
鉱業、マスメディア、公共団体では、新入社員の入社時の平均点は600点を軽く超えています。
まずは600点を目指そう
上記調査によれば、企業が新入社員に求めるTOEIC®平均点は535点ですが、600点を超えている業界も多くあります。
まずは、一般的にエントリーシートや履歴書へ記載することがプラスに働くとされる「600点」を最低ラインに設定しましょう。
600点は英検に換算すると「2級から準1級」で、高校卒業〜大学中級程度の基礎的な文法力や単語力が備わっているレベルです。
TOEIC®の点数は上がれば上がるほど就活で有利になり、900点以上になると海外企業での仕事や、スピーキング・ライティングを活用する仕事に就きやすくなります。
TOEIC®で大学生が目標点数を取るための勉強方法・勉強時間
大学生が目標点数を取るための勉強方法と目安になる勉強時間を解説します。
まずは自分がどのくらいの点数を目標にするか決めることが大切です。
イギリスのオックスフォード大学出版は、TOEIC®︎の勉強を教える教員向けに勉強時間の目安を示しています。
項目 | 350点 | 450点 | 550点 | 650点 | 750点 | 850点 | 950点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
250点 | 200時間 | 425時間 | 700時間 | 950時間 | 1,150時間 | 1,450時間 | 1,750時間 |
350点 | ー | 450時間 | 700時間 | 700時間 | 950時間 | 1,225時間 | 1,550時間 |
450点 | ー | ー | 225時間 | 450時間 | 700時間 | 1,250時間 | 1,550時間 |
550点 | ー | ー | ー | 225時間 | 450時間 | 725時間 | 1,050時間 |
650点 | ー | ー | ー | ー | 225時間 | 500時間 | 825時間 |
750点 | ー | ー | ー | ー | ー | 275時間 | 600時間 |
850点 | ー | ー | ー | ー | ー | ー | 325時間 |
上記表を利用することで、現在の点数と目標点数から必要な勉強時間が把握できます。
TOEIC®で大学生が目標点数を取るための勉強方法
目標点数を設定したら、それに向けての勉強を始めます。
大学生が目標点数を取るための勉強方法のポイントとして、以下の3つを確認しましょう。
- 勉強時間を増やす
- 勉強プランを見直す
- コーチングを受ける
例えば目標点数を600点に設定したとしても点数が伸び悩んだ場合には、勉強時間を増やす必要があります。
その際、単純に時間を増やすのではなく勉強プランを見直し、自分の弱点に対して効果的にアプローチすることが大切です。
TOEIC®の英単語については、高校や大学で学ぶものだけでなくビジネス系の単語(1,000語程度)を中心に覚えましょう。
文法に関しては小説のような複雑な構文は出題されないため、今まで学校で教わった一般的な英文法を完全にマスターすることで点数が上がりやすくなります。
リスニングなら普段から英語を聴いて耳を慣らし、声に出して音読するのも効果的です。
写真描写問題であるPart1は点数がとりやすいパートなので確実に得点し、パートごとに細分化して苦手分野の対策もしておきましょう。
「何から勉強すればいいか分からない」「一人では得点アップが見込めない」「モチベーションが保てない」という方はコーチングを利用するのも手です。
600点台を所持している大学生の勉強方法
当サイト独自で実施したアンケートによると、「TOEIC®600点以上の点数をとった大学生の勉強方法」には以下のようなものがありました。
- 「単語帳は『金のフレーズ』を使いスキマ時間にリスニング。公式問題集2冊を3カ月前から解き始め、覚えるまで何周も解いた」
- 「リスニングはアプリを使い、ディクテーション※やシャドーイングを行った。文法対策には学校で購入した問題集と高校の時に使っていた単語帳(シス単)を使って取り組んだ」
- 「単語帳や問題集は使用せず、TOEIC対策用のWebサイトを活用した。公式問題集については、試験の2週間前に時間を計って取り組んだ」
※ディクテーションとはリスニングした英語を一語一句書き取るトレーニング
他にも通学時間にアプリを使ってリスニングをするなど、スキマ時間を上手に活用している方が多いようです。
参考書だけでなく、Webサイトを効果的に利用するという声も多数ありました。
TOEIC®で大学生が目標点数を取るための勉強時間
TOEIC®550点の方が600〜650点を目指す場合、約225時間の勉強時間が必要になり、3カ月で目標達成を狙うには1日2.5時間の勉強が目安になります。
現在の点数から650点を目指す場合に必要な目安の勉強時間は以下の通りです。
※オックスフォード大学出版局の数値に600点がないため、ここでは650点を目標点数に設定しています。
現在の点数 | 必要な勉強時間 |
---|---|
250 | 950時間 |
350 | 700時間 |
450 | 450時間 |
550 | 225時間 |
全く英語ができない状態である250点から650点を目指すには950時間の勉強が必要となります。
大学受験を突破している大学生なら、IPテストの平均点である489点を超えている方も多いでしょう。
「1日2.5時間を3カ月」が600点を目指すための一般的な勉強時間といえます。
参照:英語活用実態調査【企業・団体/ビジネスパーソン】2019
大学生のうちにTOEIC®︎高得点を目指そう!
大学生の平均点はどのくらいか、目指すべきスコアは何点か、企業が求めるスコアを取る勉強方法や勉強時間を解説しました。
TOEIC®︎の点数が高いと就活が有利になる場合が多々あるため、まずは大学生の平均点以上である600点を目標に設定しましょう。
社会人に比べて大学生のほうが勉強時間を確保しやすいため、大学生のうちにTOEIC®︎で高得点をとっておく(=英語の勉強をする)と、後の人生で必ず役に立つはずです。
TOEIC®︎スコアが900点以上であれば、英語力を活かして外資系企業や海外での勤務も可能になります。
自分一人でTOEIC®︎の勉強をするのが不安な方は、効率的な勉強ができるコーチングも選択肢に入れてみましょう。
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